先日、家族旅行で日光に行きました。家族4人で楽しい旅となりました。
旅も終わり、無事に実家に戻り、小島家恒例の旅で撮影した写真の鑑賞会がはじまりました。
スマホで撮影した写真を、家のテレビに映し、スライドショーを行うイベントです。
中には面白い写真もあり、家族で腹を抱えて笑い合いました。なんと幸せな時間でしょうか(笑)。
スライドショーも終わり、私は父親と2人きりで夜な夜なビールを飲んでいました。
すると父が一生懸命スマホで何かを読んでいるのです。何しているのかと尋ねると、「昨日泊まった旅館の口コミを見ているんだよ」とビール片手に言いました。
父は、自分たちの泊まった旅館の評判が気になったようで、ポータルサイトのようなものを改めて見ていました。
「ほとんど5点満点だわ。やっぱり良かったもんな、あの旅館」と、自分の選んだ旅館が高評価であることにご満悦でした。一方で、「でも、2点の評価をつけている人もいるんだよ」と少し不服な表情も浮かべました。
2点評価の理由は「照明が薄暗い」
私は内心、「まぁ、人それぞれ評価は違うよね~」と思って聞き流そうとしました。
しかしその評価2点の理由が、「旅館全体の照明が薄暗い」というものでした。
補足しておくと、その旅館は、平家の落人が逃れこんだとされている歴史的由緒のあるエリアに存在する旅館です。
建物の外観や内観はこだわっており、世界観を反映するために、あえて薄暗くしているのです。
旅館のコンセプトに合わせた設計をしているということです。
2点評価の理由の「旅館全体の照明が薄暗い」を聞いた時、私は父と口を揃えて、「それは、わざとそうしてるんだよな、わかってないな…」と呆れていました。
もし、その旅館の照明を明るいものに変えたらどうでしょうか。雰囲気や世界観は崩れてしまいます。
実際に私達家族や他の宿泊者も、「雰囲気出てて、素敵だわ」と話していました。
どうかその旅館が、「旅館全体の照明が薄暗い」という声を真に受けないでほしいと願います。
仮にその声を反映したら、その他大勢の満足しているお客さんの気持ちを裏切ることになりかねないからです。
クレームは満足している人の「フィルター」を通す
むろん、お客様の声を他山の石として、受け止めることは大切です。生のフィードバックが何よりもの判断材料ですからね。
巷のビジネス書を読んでいると、「クレームには真摯に対応しろ」と書いてあります。
丁寧に詫て、事業に活かすという通説があります。こんなことはこれを読んでいる読者の方は百も承知ですね。
しかし、私達は弱者の味方です。「クレームくると凹むわ」「仕事のモチベーションが下がってしまう」という方も少なからずいるのではないでしょうか。大丈夫です。私達はそんなあなたの味方です。
これは、「クレームなんて無視しろ」ということではありません。対岸の火事だと思って、お客さんの声を知らんぷりをすることではありません。
重要なことは、クレームを頂いた時に、満足している人の「フィルター」を通すということです。マイナスの感想をもらうときもあるかもしれませんが、それと同時にプラスの声も多数得ているわけです。中にはリピーターさんがいる場合があります。それらのプラスの声にまず目を向けます。
今回のマイナス評価を商品・サービスに反映することで、満足している既存のお客さんはどう思うか。ただこの1点だけを考えます。その結果、「より満足度が上がる」「そのほうが嬉しい」等の反応が得られそうであれば、反映すべきでしょう。
この満足している人の「フィルター」を通さずに、クレーム対応を行うと危険です。
先程の旅館においても同じです。
「照明が薄くらい」という声を、そそくさと反映してしまったらどうでしょうか。今まで満足していたお客さんは違和感を感じるはずです。期待を裏切ることになってしまうんです。
「照明が薄くらい」というお客さんは、いまいちその旅館の世界観や意図を理解していません。一方で、「雰囲気出てて、素敵だわ」というお客さんは旅館のコンセプトをしっかり理解しています。どちらのお客さんのほうが、理想的で、今後もリピートしてくれるお客さんかは言うまでもありません。
結論的に、今回の「照明が薄暗い」という声は、反映すべきではありません。
反射的にクレームに反応してしまうのは、事業の大きな軸ブレを起こす危険性があるんですね。
スモールビジネスのクレームへの向き合い方
ここまで読んでみていかがでしょうか。
スモールビジネスオーナーであれば、いままでマイナスの声をもらったこともあるでしょう。その都度どんな対応をしていましたか。
ぜひ今回の旅館の話をヒントにしてみてくださいね。
もしクレームの声が発生したら、今まで喜んでくれたお客さんの声を思い出してみてください。感想文やアンケートが残っていれば読んでみましょう。そして満足している人の顔を思い浮かべてみてください。こうすることで、「フィルター」を通すことができます。
よく理解していないお客さんに翻弄されていては、あなたの時間が勿体無いです。
スモールビジネスでは
- いかに優良客を掴むか
- いかに1人のお客さんと長期的な関係を築くか
- いかに安売りせず単価を上げるか
が勝負所です。
そのためには、風見鶏になる必要はありません。8割のどうでもいい声よりも、重要な2割の声に耳を傾けてください。それがニッチ化するということです。
長期的な関係を築くといことは、ライフタイムバリューを上げるという意味にもなります。
薄利多売はスモールビジネスには不向きですから、やはり1人のお客さんと末長いお付き合いが理想ですね。
ライフタイムバリューを上げるためのポイント
長期的な関係を築くために必要なことは、自社のコンセプトや理念を理解してもらうということです。
これはしつこいくらい伝え続けます。ブログやメルマガ、セミナー等のあらゆるメデイアで伝えます。こちら側の意図がしっかり伝わっていないと、先ほどの旅館のようにズレたクレームが発生してしまいます。これでは、方向性がブレて商売が物凄くやりにくくなります。
コンセプトや理念を伝えると、それに共鳴したお客さんだけが集まるようになります。
クレームをもらうにしても、それは正しいクレームであることが多いです。
理想のお客さんから頂くクレームほど嬉しいものはありません。それは事業の正しい方向性を指し示しているくれるからです。
クレームのことを、「ラッキーコール」なんて呼ぶ方もいますが、共鳴してくれているお客さんからのクレームはまさに、「ラッキーコール」なのです。
的外れなクレームを防ぐためにも、長期的な関係を築くためにも、自社の考えは伝え続けましょう。
粗悪なクレームは取り合わなくて結構です。
何のために起業しましたか?
選択権は全て自分にあるのです。ルールなんてありません。自分らしく商売をやっていきましょう。