「一民間企業が大国に喧嘩を売る」
あなたは、「日章丸事件」を知っているだろうか?歴史を少しかじったことがあれば、名前くらいは聞いたことがあるかもしれない。
私も、なんとなく名前くらいは聞いたことがあったが、詳細はあまり知らなかった。今回、小説「海賊とよばれた男」を読んで、その詳細について知ることとなったので紹介したい。
細かい部分については割愛して、簡単に説明しよう。日章丸事件は、ひとことで言うと、「一民間企業が大国に喧嘩を売った」事件である。
「一民間企業=出光興産」、「大国=イギリス」だ。事件が起こったのは、1953年。1945年に終戦を迎えてから8年後のこと。
戦後日本では、イギリスやアメリカなどの連合国の関係性により、重要な資源である石油を自由に輸入することができなかった。そのせいで、円滑な経済活動ができなかった。
出光興産は石油を扱う会社。社長の出光佐三さんは、なんとかこの状況を打開できないかと画策する。その手段として、イランから石油を輸入することを決めた。
とはいっても、当時イランはイギリスの半ば支配下状態。イランに石油を買いに来たタンカーは、イギリス海軍によって撃沈されてしまう状況だったのだ。
そんな中、出光興産のタンカー「日章丸」は、イギリス海軍の目を盗み、イランからの石油輸入に成功する。裁判になったが、出光興産の勝利となった。
この事件は、戦後の日本が自信を取り戻す一因となったことに加えて、世界中、そして殊にイランに大きな衝撃を与えたのだ。
イランで有名な3つの船
「ノアの方舟、タイタニック、日章丸」
これは、イラン外務省のアジア太平洋担当ラヒムプール次官の言葉である。実は、今回お伝えしたいのは、日章丸事件でも、出光佐三さんでもなく、この言葉なのである。
前述の解説で、日章丸事件について簡単に知ることができたかと思う。では、もしあなたが誰かに、「日章丸事件について教えて」と言われたらどう説明するだろうか?
前述のような解説でもいいだろう。でも、すこし長い。なおかつ、事件の衝撃はあまり伝わらないかもしれない。でも、以下の説明ならどうだろうか。
「イランでは3つの船が有名なんだよ。ノアの方舟、タイタニック、そして日章丸。」
これだけで、日章丸事件の衝撃がよくわかるだろう。「適切な比較」は「雄弁な説明」より、よっぽど伝わりやすい。
仮に、この比較方法を「日章丸比較法」とでも名付けよう。日章丸比較法は、商品説明や他社との比較でも同じである。
日章丸比較法のポイントは、「有名なもの、有名なもの、今回のもの」という骨組み(テンプレート)だ。「有名なもの」が続いた後に、「今回紹介するもの」が来ることで、同列扱いということになる。
有名なものを何にするかは考えなければならないが、上手にはまれば、強いメッセージとなる。
「適切な比較」は「雄弁な説明」より、よっぽど伝わる。あなたも「日章丸比較法」を実践してみることをおすすめする。
編集後記
比較というのはキャッチコピーに限らず、いろいろな場面で大切である。
何かあれば、検索することが日常的になっている現代人は比較能力も長けてきている。
比較を上手に活用して、伝わるメッセージを作っていこう。
この記事への反響
これはめちゃくちゃ勉強になりました^^ポジティブに”虎の威を借る”ってことですね!みなさんもぜひ♪
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— にしむー@日本一変なプロブロガー (@prblggr) 2016年11月17日
3秒では作れませんが^^とてもためになる内容です!
3秒で作れる!比較で伝わるキャッチコピーの作り方テンプレート https://t.co/spEA9LhfE6— 吉井良平@DeskWorkLabo (@Yoshii_Sogyu) 2016年11月18日