「はーい、それじゃ、お口の写真を撮っていきますね〜」
ずっと後回しにしていた、歯医者に行ってきた。近所で評判の歯医者。その歯医者では、治療を始める前にレントゲンに加えて、カメラで写真を撮られる。
強制的に歯茎を露出させる器具みたいのを付けて、まな板の上の鯉状態で、正面から、横から、ななめから、パシャパシャ。
一通り撮り終わると、次は歯のチェックが始まる。「C1、C2、C3…」何やら医師が、つぶやいている。
「確か、Cって虫歯のことだよなぁ。なんかCの数が多い気がするなぁ〜」と口がくさいと思われないように、鼻呼吸をしながら考えていた。
チェックが終わると、目の前にある大きなディスプレイを一緒に見ながら説明がされる。さっき撮った写真が映っている。
「うん、12本ですね。」なにが?と思ったら、虫歯の数だという。大人の歯の数は、親知らずを含めて上下16本ずつ、合計32本。
そのうち12本が虫歯だって?にわかには信じられなかったが、医師からの診断結果の説明を受けて納得し、すぐに治療を始めることにした。
問題があると教えてくれているのだから、解決したいし、その解決はできるだけ早いほうが良いに決まっているからだ。
歯の治療+クリーニング+磨き方
それ以来、だいたい週2、3回のペースで歯医者に通っている。(今も継続中)
歯医者では、医師による歯の治療に加えて、歯科衛生士がクリーニングをやってくれたり、歯の磨き方を教えてくれたりする。
実際に使っている歯ブラシを持っていって、具体的にどのように磨けばいいのか、どのような歯ブラシを使った方が良いのか教えてくれるのだ。
見てもらったところ、どうやら私の場合、力を入れて磨き過ぎなのと、歯ブラシが硬すぎるのが問題のようだった。男性によくありがちなことらしい。
そのアドバイスを受けた歯医者の帰り道に、ドラッグストアに寄って、やわらかい歯ブラシを買って、家に帰ったのは言うまでもない。
どうせゆくゆく買うんだったら、できるだけ早いほうが良いに決まっているからだ。値段なんて見てもいない。
見たのは「かたい」「ふつう」「やわらかい」の表示だけ。もちろん、その歯ブラシを使って、教えてもらったとおりに磨いている。
誰だって問題があれば解決したい
医師の言われる通りに通院・治療をして、歯科衛生士の言われる通りに歯ブラシを買って、歯を磨いている。
素直過ぎると思われるだろうか?特殊な性格だと思われるだろうか?あなたであれば、どうするだろうか?
おそらく普通の人であれば、同じように通院・治療をして、歯ブラシを買って、歯を磨くと思う。
放っておいたら虫歯になったり、歯を抜かないといけなくなるかもしれない。また、自己流で磨いていたら、歯周病や知覚過敏になってしまうかもしれない。
せっかく問題があると教えてくれているのだから、解決したいし、その解決はできるだけ早いほうが良いに決まっている。
誰だって、そうだろう。
セールスもオファーもクロージングも無し
さて、いつ私は歯医者でセールスをされただろうか。
- 診断をされたあと?
- 密室のレントゲン室で?
- 美人な受付の人から?
どれも違う。最初から最後まで、一切セールスの類を受けることはなかった。
「どうしますか?」「これがおすすめですよ」と言われることはあっても、セールスはされていない。
「あと30秒で決断ください」とカウントダウンタイマーもされていないし、「プレゼントがあります」とPDFのオファーもされていない。
何のセールスも、オファーも、クロージングも、されていないのに、通院している。つまり、お金を払っている。
歯医者からすれば、セールスせずに顧客を獲得できたわけだ。というより、いつもセールスせずに顧客を獲得しているだろう。
どうして、こんなことが起こるのだろうか?どうすれば、セールス無しで顧客を獲得できるのだろうか?
セールス無しで顧客を獲得できる理由
「問題がわかってるから。」この一言に尽きる。
問題がわかってるから、解決したいと思う。当然ながら、そもそも問題がわからない、あるいは無いのであれば、解決しようとはしない。
最初に歯のチェック、診断を受けて、虫歯(しかも12本)という問題があるとわかったから、治療で解決しようと通院をする。
治療をする(問題を解決する)のは確定事項で、あとはどこでやるかしか考えない。治療をするかどうかなんて、まったく考えない。するに決まってる。
もっといえば、歯磨きをしないと、虫歯はもちろん、歯周病や知覚過敏という問題が起こるという知識があるから、未然に解決しようと歯磨きをする。話も聞く。
つまり、セールス無しで顧客を獲得できるようになるためには、問題に気付かせてあげること、問題教育をするということが大切になる。
問題教育をあらゆる場所で徹底すること
我々の知る限り、商売が繁盛しているスモールビジネスは、この問題教育を徹底しておこなっている。
- どんな問題があるのか
- その問題を放置するとどうなるのか
- 他にどんな問題が発生してしまうのか
- 問題を一般的にどう解決するのか
- その解決方法のどこが良くないのか
- 本当はどのように解決した方が良いのか
- …
これらのメッセージをブログやメルマガ、SNSなどのメディアはもちろん、広告など、あらゆる場所で徹底的に伝えている。
その結果、「問題がわかってる」人が来る。想像すればわかると思うが、問題というのは、その問題を気付かせてくれた人に解決して欲しいと思うのが人情である。
要するに、商売が繁盛している理由は、セールステクニックをこねくり回しているからではなく、問題教育を徹底しているからなのだ。それだけ多く問題に気付かせてあげてるということ。
セールステクニックをこねくり回すのは、その後。まずは、いろいろな角度から問題教育を徹底して、「問題がわかってる」人を連れてくること。
問題がない(わかってない)人にセールスするのは、難しい。テクニックというのは、それが必要だという時点で、疑ってかかる必要がある。
もしかすると、売れない原因はセールステクニックこねくり回し不足ではなく、その前にあるかもしれない。問題教育を徹底しよう。