ローカルLLMを試していると、つい気になるのがモデル選びです。
- Gemmaが良いのか?
- Qwenが良いのか?
- DeepSeekはどうか?
モデルごとに、特徴はあります。
実際、私たちも、Gemma4とQwen3 4Bを比べてみました。
その結果、今回の文章づくりでは、Gemma4の方が使いやすそうだと感じました。
ただ、検証を進める中で、もう1つ大きな発見がありました。
それは、同じGemma4でも、指示の出し方で、結果がかなり変わるということです。
今回は、ローカルLLMにおけるプロンプトの大切さを、実際の出力をもとに整理してみます。
結論:モデルだけでは、仕事に使える文章にならない
最初に結論です。
AIモデルを選ぶことは、大切です。
ですが、良さそうなモデルを入れただけで、仕事に使える文章が完成するわけではありません。
- AIには、何をしてほしいのかを伝える必要があります。
- さらに、何をしてほしくないのかも伝える必要があります。
今回、Gemma4に同じ文章を渡して試したところ、指示を具体的にした後の方が、元文章の意図に近い結果になりました。
つまり、モデル選びと同じくらい、やはり、プロンプト設計も大切です。
今回使った元文章
今回、Gemma4に編集してもらったのは、ランディングページを「ネット上のレジ」に例えて説明する文章です。
- お店にレジがなければ、お客さんは商品を買えません。
- ネット集客でも、同じです。
- お客さんを集めても、商品を購入して頂くページがなければ、商売につながりにくくなります。
- そこで必要になるのが、ランディングページです。
この文章には、次のような要素が入っています。
- ランディングページはネット上のレジである
- 昔は、HTMLやCSSなどの知識が必要だった
- 今は、ツールを使えば、自分で作りやすくなっている
- 外注だけに頼らず、自分で修正できる状態も持てる
この内容を、Gemma4が、どこまで残せるかを見ました。
最初の指示は「分かりやすくしてください」だけだった
最初に出した指示は、かなりシンプルでした。
- 「あなたは、スモールビジネス専門の編集者です。以下の文章を分かりやすくしてください。」
この指示に対して、Gemma4は、複数の文章案を出してくれました。
- Webサイト向け
- メールマガジン向け
- ブログ向け
文章そのものは、ある程度読みやすくなっていました。
ランディングページを「レジ」とする比喩も、理解できていました。
ただし、問題もありました。
私たちが頼んでいない内容まで、AIが追加していたのです。
- 売上を強く意識した表現
- 高額な外注費は不要という断言
- 誰でも簡単に作れるという強い言い切り
- 元文章にはない具体例や説明
AIとしては、分かりやすくしようとしたのだと思います。
ですが、私たちの文章では、確認していないことを軽く断言したくありません。
また、「売上アップ」などの言葉で、読者を強くあおることも避けたいところです。
そこで、指示を見直しました。
条件を細かく指定して、もう一度試した
次は、Gemma4に次のような条件を追加しました。
- あなたは、スモールビジネス専門の編集者です。
- 以下の文章を、意味を変えずに読みやすく編集してください。
- 条件:
- 出力は1案だけ ・絵文字は使わない
- 過剰なテンションにしない
- 「売上アップ」「最強」「革命」「魔法のような」は使わない
- 元文章にない数字や事実を追加しない
- ですます調
- 初心者向け
- 一文は短く
- 読者にやさしく語りかける
- DIY、内製化、自分でできる、という価値観を自然に入れる
- HTMLにはしない
条件を追加した後、Gemma4の出力は、かなり落ち着きました。
- 最初のように、複数のパターンを勝手に出すこともありませんでした。
- 元文章にない数字や、確認していない事実も、目立って増えませんでした。
- 文章全体も、ランディングページを「レジ」に例える流れを残していました。
もちろん、完全に、私らしい文章になったわけではありません。
ですが、最初の出力よりも、編集の下書きとして扱いやすい結果になりました。
何が変わったのか?
今回の結果を比べると、変化したのは主に次の4つです。
| 項目 | 最初の指示 | 条件を追加した指示 |
|---|---|---|
| 出力の数 | 複数案が出た | 1案に絞られた |
| 追加情報 | 元文章にない説明が増えた | 追加が抑えられた |
| 文章の温度感 | 少し強い表現が入った | 比較的落ち着いた |
| 用途 | 提案文に近い | 編集原稿の下書きに近い |
ここで大切なのは、Gemma4が、別のモデルになったわけではないことです。
同じ、Gemma4です。
変えたのは、こちらの伝え方です。
「分かりやすくして」だけでは足りない理由
人間同士なら、「分かりやすくして」で通じることもあります。
長く一緒に仕事をしている相手なら、なおさらです。
ですが、AIは、こちらの前提を全部知っているわけではありません。
- 「分かりやすい」とは、何を意味するのか?
- 「このは屋らしい」とは、どんな文章なのか?
- どこまで書き換えて良いのか?
- 何を追加してはいけないのか?
これを伝えなければ、AIは自分なりに補おうとします。
その結果、もっともらしいけれど、こちらの意図と違う文章が出てきます。
つまり、AIにとっての「分かりやすい」と、私たちにとっての「分かりやすい」は、必ずしも同じではありません。
指定した方が良い条件
今回の検証を通して、文章づくりでは、最初から指定した方が良い条件が見えてきました。
1. 出力の数を指定する
AIは、親切に複数案を出すことがあります。
ですが、毎回、3案や5案が必要とは限りません。
編集を頼むときは、「出力は、1案だけ」と伝えた方が、確認しやすくなります。
2. 追加してはいけないことを指定する
AIは、説明を補おうとします。
そのとき、元文章にない数字や事実まで足してしまうことがあります。
事実関係が大切な記事では、「元文章にない数字や事実を追加しない」と入れておく方が安全です。
3. 使いたくない表現を指定する
私たちは、過剰にあおる言葉を使いません。
たとえば、次のような表現です。
- 最強
- 革命
- 魔法のような
- 誰でもすぐ成功できる
- 絶対に売上が上がる
こうした言葉を避けたいなら、最初から伝えておく方が確実です。
4. 文体ルールを具体的に書く
当然ながら、「私の文体で」と書くだけでは、ローカルLLMに限らず、生成AIには伝わりません。
少なくとも、次のような情報は必要です。
- ですます調
- 一文を短くする
- 専門用語は言い換える
- 読者に語りかける
- DIYや内製化を大切にする
- 売上や数字だけで、あおらない
- 人間が隣で説明するような距離感にする
AIは、空気を読むより、条件を読む方が得意です。
プロンプトは、命令文ではなく編集依頼書
プロンプトという言葉を聞くと、難しく感じるかもしれません。
ですが、そんなに特別な言葉ではありません。
編集者に依頼するときの、簡単な指示書のようなものです。
たとえば、外部の編集者へ文章を渡すとします。
そのとき、何も説明せずに「分かりやすくしてください」とだけ送るでしょうか?
おそらく、次のようなことを伝えるはずです。
- 誰に向けた文章か
- どのくらい書き換えて良いか
- どんな言葉は避けたいか
- どんな雰囲気にしたいか
- 完成形は何に使うのか
AIに依頼するときも同じです。
プロンプトは、AIに出す命令文というより、編集依頼書に近いものだと考えると分かりやすいでしょう。
モデル選びとプロンプト設計は、どちらも必要
今回の検証から、「モデル選びより、プロンプトが大事」と言い切ることはできません。
モデルによって、文章の自然さや、指示への反応は違います。
Gemma4とQwen3 4Bを比べても、その差はありました。
ただし、モデルだけ選んでも、十分ではありません。
良いモデルに、あいまいな依頼を出せば、あいまいな結果になります。
逆に、比較的小さなモデルでも、役割を絞り、条件を具体的に伝えれば、使える場面は増えます。
私たちの現時点での結論は、こうです。
- モデル選びと、プロンプト設計は、どちらか一方ではありません。
- 両方を少しずつ整えていくことが、AIを仕事に組み込む近道です。
まとめ
- 同じGemma4でも、指示の出し方で出力は変わりました
- 「分かりやすくして」だけでは、AIが余計な説明を加えることがあります
- 出力数、禁止事項、文体、追加情報の扱いを明示すると、結果が落ち着きました
- プロンプトは、AIへの編集依頼書のようなものです
- モデル選びだけでなく、何をしてほしいかを具体的に伝えることが大切です
- AIは下書きや整理を担当し、最後の判断は人間が行う使い方が現実的です
ローカルLLMを使うとき、最初から完璧な文章を求める必要はありません。
- まずは、仕事の一部を手伝ってもらう。
- そのうえで、指示を少しずつ育てていく。
この積み重ねが、AIを「自分専用の編集者」に近づけていくのだと思います。
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