前回は、Google Apps Script、Gemini API、RSS、Gmailを使って、最初の「自分専用AI週報」を作った方法をご紹介しました。
結論から言うと、Google Apps Script版は、十分に役立ちました。
- 毎週、公式サイトの更新情報を集めて、
- Geminiに重要なニュースを選んでもらい、
- メールで受け取る。
当初の目的だった「自分向けのAIニュースを、無料・自動的・週次で受け取る」は、これで実現できました。
ただ、使い続けるうちに、次の課題も見えてきました。
- 「動く仕組み」と「育てやすい仕組み」は、少し違う。
今回は、Google Apps Script版の「自分専用AI週報」を運用して分かった5つの限界と、n8nへ移行しようと思った理由をお伝えします。
この記事の要約
- Google Apps Script版の「自分専用AI週報」は、最初の仕組みとして十分に役立ちました。
- ただし、情報源や処理を増やすほど、コードの管理と改善が難しくなります。
- n8nへ移行した理由は、高度なことをするためではなく、仕組みを見える化して育てやすくするためです。
Google Apps Script版の「自分専用AI週報」は「失敗」ではない
最初に、大事なことをお伝えしておきます。
Google Apps Script版の「自分専用AI週報」は、失敗ではありません。
むしろ、最初に、Google Apps Scriptで作ったからこそ、次に何を改善すべきかが見えました。
たとえば、最初の仕組みで分かったのは、次のようなことです。
- 公式RSSから新着情報を取得できる
- Geminiに候補を渡せば、重要な情報を選別できる
- メールで届く形にすると、毎週確認しやすい
- AIニュースは「全部読む」より、「最初に絞る」方が大切
つまり、仕組みとしての方向性は、間違っていませんでした。
ただ、実際に使い始めると、
- 「もう少し情報源を増やしたい…」
- 「同じ記事を何度も送らないようにしたい…」
- …etc
といった改善点が、出てきます。
限界1:情報源を増やすほど、コードが複雑になる
最初は、Google Workspace UpdatesとWordPress Developer Blogのように、少数のRSSを読むだけでした。
この段階なら、Apps Scriptでも、十分に扱えます。
ですが、「自分専用AI週報」として本格的に使うなら、見たい情報源は増えていきます。
- OpenAI
- Anthropic
- Google Gemini
- Canva
- n8n
- Dify
- WordPress
- GitHub Releases
情報源が増えること自体は、良いことでしょう。
でも、RSSだけでなく、SitemapやGitHub APIなど、取得方法が違う情報源も出てきます。
すると、情報源ごとに、
- 「どこから取るか?」
- 「どう読み取るか?」
- 「どの項目を使うか?」
をコードで、書き分ける必要があります。
小さな仕組みだったはずが、少しずつコードのかたまりになっていきます。
限界2:途中で何が起きているか見えにくい
Google Apps Scriptは、コードとして読むと非常に便利です。
ですが、コードに慣れていない人にとっては、処理の全体像を把握しにくい面があります。
たとえば、「自分専用AI週報」の中では、次のような処理をしています。
- 情報源から新着情報を取得する
- 公開日を確認する
- 古い記事を除外する
- 候補をGeminiへ渡す
- Geminiの回答をメール用に整形する
- Gmailから送信する
この流れをコードだけで追うと、「今どこで止まっているのか」が分かりにくくなります。
特に、エラーが出たときは大変です。
- 情報取得で止まったのか?
- Gemini APIで止まったのか?
- メール送信で止まったのか?
処理の順番が視覚的に見えないと、原因を探すだけで時間がかかります。
限界3:改善したい部分だけを直しにくい
仕組みを使っていると、必ず改善したい部分が出てきます。
たとえば、次のようなものです。
- 情報源を追加したい
- ニュース候補を新しい順に並べたい
- 候補数を制限したい
- Geminiへ渡す文字数を減らしたい
- 同じ記事を二度送らないようにしたい
- メールの見た目を整えたい
Google Apps Scriptでも、もちろん改善できます。
ただ、改善するたびにコードのどこを直すか考え、全体への影響を確認する必要があります。
限界4:手動テストと本番送信の区別が難しい
「自分専用AI週報」は、最終的にメールを送る仕組みです。
つまり、テストするときにも誤送信の可能性があります。
ここは、想像以上に大切なポイントでした。
たとえば、途中まで確認したいだけなのに、そのまま最後まで実行されてメールが送られてしまう。
または、テストした結果が「送信済み」として記録され、本番で必要なニュースが除外されてしまう。
こうした問題を防ぐには、次のような区別が必要です。
| 確認したいこと | 必要な仕組み |
|---|---|
| 情報を取得できるか? | 情報取得だけを確認する |
| Geminiの内容が適切か? | メール送信前で止める |
| メールの表示が正しいか? | テスト用の送信先で確認する |
| 本番の重複防止が動くか? | 本番とテストの履歴を分ける |
仕組みが育ってくるほど、「動くかどうか」だけでは足りません。
安全に試せるかどうかも重要になります。
限界5:仕組みの説明と引き継ぎが難しい
自分だけが使う小さな自動化なら、コードをそのまま使い続けても良いかもしれません。
ただ、このは屋では、今回の仕組みを単発で終わらせるつもりはありません。
今後は、「自分専用AI週報」だけでなく、
- 自分専用AI従業員
- 自分専用AI編集者
- 自分専用AI記事制作
- 自分専用AIメルマガ
- 自分専用AI動画制作
- 自分専用AI社員
- …etc
にも広げていきたいと考えています。
そのときに必要なのは、「作った人だけが分かる仕組み」ではありません。
誰が見ても、次のことが分かる仕組みです。
- 何を取得しているか?
- どの順番で処理しているか?
- どこでAIを使っているか?
- どこからメールを送っているか?
- どこを直せば良いか?
これは、内製化にとって、非常に大切です。
内製化は、「自分で作る」だけではありません。
自分たちで理解し、直し、育てられる状態を作ることです。
そこでn8nへ移行することにしました
こうした課題を感じて、次に試すことにしたのが、n8nです。
n8nは、色々なサービスや処理をつなげて、自動化の流れを作るツールです。
今回の「自分専用AI週報」でいうと、次のような流れを画面上でつなげられます。
- RSSやAPIから情報を取得する
- 情報源ごとに形式を整える
- 候補をまとめる
- 古い情報や重複を除外する
- Geminiに重要なニュースを選ばせる
- メール用のHTMLに整形する
- Gmailで送信する
この流れが、ノードと線で、視覚的に把握できるようになります。
全体像が見えるだけで、仕組みを理解しやすくなります。
n8nへ移行した本当の理由
n8nへ移行した理由は、「Google Apps Scriptより高機能だから」だけではありません。
本当の理由は、次の3つです。
- 処理の流れを見えるようにしたい
- 小さな改善を積み重ねやすくしたい
- 「自分専用AI週報」を、一度作って終わりではなく、育て続けたい
要するに、移行の目的は、単にツールの乗り換えではありません。
仕組みを育てやすくすることにあります。
WordPressを使って、ブログを育てることにも似ています。
最初は数記事でも、続けるうちにカテゴリーが増え、内部リンクが増え、読者に役立つ情報資産になっていきます。
「自分専用AI週報」も同じです。
最初は、「ニュースをメールで送る仕組み」でした。
でも、改善を重ねれば、将来的には、
- 自分専用AI従業員
- 自分専用AI編集者
- 自分専用AI記事制作
- 自分専用AIメルマガ
- 自分専用AI動画制作
- 自分専用AI社員
- …etc
の土台にもなります。
まとめ
- Google Apps Script版の「自分専用AI週報」は、最初の仕組みとして十分に役立ちました。
- 使い続けるうちに、情報源追加、エラー確認、改善、テスト、引き継ぎの課題が見えてきました。
- n8nへ移行する目的は、仕組みを見える化し、改善しやすくすることです。
- 大切なのは、最初から正解のツールを選ぶことではありません。
- まず動くものを作り、実際に使い、次の改善点を見つけることです。
次回は、Dockerもn8nも初めてだった状態から、ローカル環境でAI週報を動かすまでの流れをご紹介します。
前回の記事はこちらです。Google Apps Script・Gemini API・RSS・Gmailで無料の「自分専用AI週報」を作った方法

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