「優しくて包容力のある、硬派で一途な男の人が好き!」と口にするのは、チャラチャラした彼氏に四股されていた友人。
「タイプは、スレンダーでモデルみたいな人かな〜」と口にするのは、嫁がポッチャリ体型で肝っ玉母さんタイプの友人。
えてして、人の言動と行動とは正反対になるものだ。あなたの周りにもそんな人がいないだろうか?あるいは、あなた自身もそういう傾向がないだろうか?
- 「毎日9時に寝て、5時に起きる」と言っているけど、本当は「12時に寝て、8時に起きている」
- 「1日2時間の読書は、欠かさない」と言っているけど、本当は「30分読めば、良い方」
- 「事業は順調?と聞かれた時には「絶好調!」と答えておきながら、本当は「毎月カツカツ」
最後に関しては、スモールビジネスオーナーとしては笑えないところだが、言動と行動の不一致は、誰にでも経験のあることだろう。
人は、誰かに何かを聞かれた時に、ちょっぴり良く見せる傾向がある。もちろん、これは程度の問題ではある。
あるがままに答える素直な人もいるし、ちょっぴりどころかメチャクチャ「盛る」人もいる。(※盛る=大げさに表現する)
でも、おおむね「ちょっぴり良く見せる傾向がある」というのは間違いないだろう。中には、本当は正反対のくせに、良く見せる人もいる。
日常的によく起こる事は、商売を行っていく上でもよく起こる事であるということをきちんと認識しておかないといけない。
はなっからお客さんに聞けばいい
あなたは、商品開発をする時、マーケティング活動をする時、どうやってお客さんに選んでもらえるように工夫しているだろうか?
おそらく、まず最初にお客さん像を決めていることと思う。いわゆる「ペルソナ」というものだ。年齢や性別、住んでいる場所など、ある特定の個人をペルソナに設定する。
このペルソナというものが、厄介だ。もちろん、誰だか分からない「30代〜40代の女性」というものをターゲットにするよりは、はるかに良い。
でも、いくら机上でウンウンとやったところで、所詮考えたのは自分だろう。ペルソナシートには、自分というフィルターを通して出たエキスが濃厚に出る。
つまり、見当違いである可能性が少なくない。ペルソナが見当違いであれば、そこから先の商品開発やマーケティング活動がズレてしまうのは言うまでもない。
じゃあ、どうすればいいのか?簡単だ。はなっからお客さんに聞けばいいのだ。自分で考えるのは二次情報だか三次情報になるが、お客さんから聞くのは一次情報だ。
正確性が段違い(ダンチ)だ。とはいえ、お客さんに聞くときには、抑えておきたい注意点がある。
「言動」より「行動」を知る
結論からいうと、「どう選びますか?」じゃなく「どう動いたか?」を聞くということだ。
要するに、お客さんの「思考」を聞くのではなく、「行動」を聞くということである。(「思考」は、「言動」と置き換えてもいい)
なぜなら、えてして、人の言動と行動とは正反対になるものだからだ。
思考(言動)を聞いたところで、大した意味はない。「優しくて包容力のある、硬派で一途な男の人が好き!」とか言っておきながら、チャラチャラした彼氏に四股される人もいる。
行動を聞くのだ。行動はウソをつかない。友人は、「優しくて包容力のある、硬派で一途な男の人が好き!」なのではなく、「自分勝手でどこか危うい、軟派でチャラチャラした男の人が好き!」なのだ。
「優しくて包容力のある、硬派で一途な男の人が好き!」というのは、自分をよく見せるためだけの対外的なPRメッセージに過ぎない。
にも関わらず、こういうターゲットに向かって「優しくて包容力のある、硬派で一途な男の人が好きなあなたへ」としても響かないのだ。
伝えるとしても、「優しくて包容力のある、硬派で一途な男の人が好きな自分でいたいあなたへ」とするべきだろう。(少しイジワルが過ぎたか。)
もう少し、話をスモールビジネス寄りにしてみよう。
税理士は「クラウド会計、チャットワーク、スカイプ」で上位表示を狙え?
これからあなたが、新たに税理士を選ぶことになったとしよう。どのように選ぶだろうか?
- すでにいる知り合いの中から気が合う人を選ぶ?
- コンサルティングなどの付加価値がある人を選ぶ?
- 検索結果で上位に出てくるブログをやってる人を選ぶ?
様々な方法があるだろう。ここで一度、頭を切り替えて欲しい。
あなたは税理士だとする。上記のように、様々な方法で税理士を選ぶ人がいる中で、どうすれば自分を選んでもらえるだろうか?
もちろん、確実に選んでもらえる方法など存在しない。でも、確率を上げることはできる。
それこそが、「行動」を聞くということだ。スモールビジネスに限らず、たいていの場合、税理士の集客は紹介だ。
そんなことはみんなわかっているんだから、「税理士を選ぶとしたらどうしますか?」なんて聞いても意味がない。
「紹介してもらいます。」って答えてもらっても、何の参考にもならないだろう。そうではなく、「行動」を聞くのだ。
「税理士を選ぶ時に、(実際に)どうしましたか?」を聞く。そうすると、実際の行動を聞くことができる。
実際の行動を聞くことができたら、あとはそこに照準を合わせればいいだけだ。
たとえば、ウチの場合は、紹介ではなく、グーグルで「税理士 クラウド会計」や「税理士 チャットワーク」、「税理士 スカイプ」などと検索した。
これらのキーワードでリスティング広告を出稿されたり、ブログ記事で上位表示されたら、ウチはロックオン→ファイヤーだ。
税理士に限らず、お客さんの行動を聞けば、そこに照準を合わせて、ロックオン→ファイヤーすることができる。
人は、誰かに何かを聞かれた時に、ちょっぴり良く見せる傾向がある。人の言動(思考)に惑わされる必要はない。
抽象化して最大公約数を求めるよりも、具体的な1人1人の行動を地道にかつ、つぶさに観察して落とし込んでいこう。