短期より長期なら、色物より本物

「インパクトがある方が、記憶に残るよな〜」

渋谷のヨシモト∞ホールを後にしながら、感想を言い合った。弟がお笑い芸人をやってるので、定期的にこのは屋メンバーでヨシモト∞ホール(通称:ムゲンダイ)に足を運ぶ。

ムゲンダイのお笑いライブでは、小一時間の内に3,4分のネタがポンポン披露される。1回のライブで、およそ20組くらいの、夢見る若手芸人を知ることができるというわけだ。

あのネタ誰だっけ?

毎回ライブ終了後には、アンケートの提出を求められる。「どの芸人がおもしろかったですか?次の中から、5組に丸を付けてください」といった具合だ。

いつもこの時に、頭を悩ませる。もちろん、1組は愛くるしい我が弟のコンビ名に、丸を付けるのは言うまでもない。(本当は丸じゃなくて、星を付けたい)

ただ、その他4組を選ぶことができないのだ。「どの芸人がおもしろかったっけな〜?」。15組目くらいには、もはや1組目や2組目の芸人のネタなんて覚えてない。もっといえば、3組前のネタですら忘れてしまっているほどだ。

色物芸人しか覚えてない?

だから結局、インパクトのあった芸人を選ぶことになる。パンツ一丁で歌を歌ってるヤツとか、プロレスラーの格好をしているヤツとか、おもしろいダンスを披露したヤツとか、そんな芸人。

いわゆる、「色物」芸人だ。ムゲンダイで目立つのは、色物芸人ばかり。実際にアンケート結果を弟に聞いたり、後日吉本のサイトでチェックしたりすると、彼らが上位に入っている。

別に色物芸人を、否定するわけじゃない。お笑い芸人なんて、まさしく人気商売なわけだから、印象に残らないよりは残った方がいいと思う。

最近ブレイクした芸人をみてみても、そのほとんどが色物芸人に分類されるだろう。一発も打ち上げられないくらいなら、一発屋として、一発だけでもいいから打ち上げてみたいという気持ちも理解できる。

パンツ一丁でやってみれば?

でも、「じゃあ、そのことを弟に伝えるか?」と考えると、はたと止まってしまう。

「観客の立場として言わせてもらうと、全然印象に残らない。だから、パンツ一丁でネタをやった方がいい。リズムに合わせてダンスを踊ると、より良いかもしれないな!」とは、ちょっと言えない。

なんで言えないのか。おせっかいながら、少し時間をとって考えてみた。今度実家に帰ったとき、愛くるしい弟に、なんてアドバイスをしてあげたいか。いろいろと頭に浮かんだが、整理すると2つのメッセージに集約された。

ゴールは飲食店?

一つは、「短期よりも、長期の成果を目指したら?」

結局のところ、なんで色物をやるかというと、短期間で成果を出したいからじゃないか。一発屋芸人が、その典型だろう。

リズムやダンスネタをやってみたり、パンツ一丁や奇抜なビジュアルをしてみたり。確かに短期的な成果を求めるのだったら、その方がいい。圧倒的に、インパクトと印象を与えることができる。

でも、長期的な成果というとどうだろう?もちろん、一発あてたあとに、ネームバリューを活かして飲食店をオープンしてみたり、地方へ営業をしたりなどという選択肢はある。

ただ、彼らが恋い焦がれるテレビに出続けることを成果とするなら、長期的な成果は見込めない。これまでの例をみると、よくて3〜5年といったところだろう。

だから、短期よりも長期の成果を目指したらどうだろう?と伝えたい。ちょうど、最近じわじわと露出が増えてきたサンドウィッチマンや千鳥のように。

彼らだって10年くらい前にブレイクしたかと思ったら、その後は泣かず飛ばずのテレビ出演という印象だった。でも最近は、ちょくちょくテレビに出ている。(イッテンモノという番組はおすすめだ)

むしろ、テレビに出ても面白いトークができないなら、できるようになってから出たほうがいい、と考えることもできるんじゃないか。その方が、長期的に活躍できる気がする。

みんなに認めてもらいたい?

もう一つは、「有名になることより、自分の面白いを追求したら?」

そもそも短期間の成果を求めるということは、ただ単に有名になりたいということじゃないだろうか。純粋に面白いことをやるのなら、期間という概念は関係ない。

お笑い芸人の真の本分はわからないし、人それぞれ考えが違うだろうけど、個人的には、自らの面白いを追求することだと思う。

ただ単に有名になることではないし、ましてや大御所として偉そうにふんぞり返ることではないだろう。むしろその対極で、「俺らみたいなもんが〜〜」「芸人なんぞ〜〜」というのが本当の芸人精神なんじゃないだろうか。確かビートたけしか誰かも、何かのインタビューでそんなことを言ってた気がする。

面白いことを追求した結果が、パンツ一丁やリズム、ダンスならいいだろうけど、どうもテレビに出ている芸人を見ていると、そういう風には見えない。有名になることや、大勢の人に認めてもらうことだけが目的のように感じてしまう。

以前、ロンドンブーツ1号2号の田村淳の著書を読んだ際に、相方と奥さんに認めてもらえてれば、他の人には認めてもらわなくても構わないというようなことが書かれてあった。こんな風に周りの目など気にせずに、自分の面白いを追求していくのが本当の芸人精神なんじゃないだろうか。

以上2点を弟に伝えようかな〜とか考えていたら、「いやいや、こりゃ俺のことじゃないか!」とハッとしてしまった。というか、スモールビジネスオーナーのあなたにも当てはまるんじゃないか?

みんな大好き「色物ツール」

短期的な成果を求めるため、リズムやダンスネタをやってみたり、パンツ一丁や奇抜なビジュアルをしてみたりする。

そのまんま、スモールビジネスに当てはまる。最近でいうと、インスタグラムやLINE@などの最新マーケティング情報を追い求めてみたり、プロダクトローンチやオートメーションウェビナーなどの横文字手法に救いを求めたりすることか。

もちろん、インスタグラムやLINE@がマーケティングで活用できないわけじゃないし、ローンチやウェビナーが救いの一手にならないというわけじゃない。

ただそれらにすがるのが有効だとは、とても思えない。ちょうど一発屋芸人が、たった1つの鉄板ネタにすがるのと同じことだ。賞味期限は、持って3〜5年といったところ。

個人的には、3〜5年しか持たないもののために費やす時間は、もったいないものだと思っている。だったら、芸人がコツコツとトーク力を磨くように、地力を着けたほうがいいんじゃないか。

スモールビジネスでいうと、話す力や聞く力、考える力、書く力といったところか。それらを表現するメディアは、たくさんある。

話す力や聞く力であれば、ユーチューブにノウハウ動画や対談動画をアップロードすればいい。考える力や書く力であれば、ブログに記事を更新していけばいい。(もちろん、他にも打つ手なんていくらでもある)

インスタグラムやLINE@などといった色物ツールは、これら基幹コンテンツの拡散場所として活用していけばいいのだ。間違っても、色物が先に来ることはない。トーク力のない芸人が、早晩テレビから消えるのと同じことだ。

先月の会報誌って覚えてる?

有名になることや、大勢の人に認めてもらうことが目的。

確かにスモールビジネスオーナーで、有名になることや大勢の人に認めてもらうことが目的だという人は多くはないだろう。

もしそれが目的だとしたら、家族や友人と過ごすプライベートの時間よりも、仕事の時間を優先するだろうし、経営効率や生産性向上などといった資本主義的な考え方が大好きだろう。

というか、そもそもそんな人はスモールビジネスという形態を取らない。「起業したのだから、とりあえず上場してみたい。金持ちになりたい。高層タワーマンションに住んでみたい」などと考えるのだから。

こういったタイプの人はスモールビジネスでは少ないし、鼻歌組にも入会していないと思う。だって、それって全然、鼻歌交じりじゃないから。(むしろ、鼻息が荒い)

でも、周りの目を気にするという人は結構いるのだ。たとえば、ブログ記事を更新したり、ユーチューブ動画を公開したりしようとすると、必ずこんな意見や質問を受ける。

「まだ情報を出していくレベルじゃないんです」、「話し方教室に通ってから始めます」、「どうしたら拡散される記事を書けますか?」etc…

大丈夫だって。あなたの動画や記事なんて、そんなに見られてないんだから。だって、あなただって、毎月渾身の力と時間を費やして送っている、先月のウチの会報誌の内容覚えてないでしょ?

いいじゃない。あなたの大切な人だけに、あなたのことを認めてもらえれば。他の人なんてどうだって。それに、あなたが気を遣うべきなのは、いちいちあなたの揚げ足を取ってくるような人じゃなくて、あなたの情報を心待ちにしている人。

あなたはあなたの面白いを追求して、あなたの面白いを共感してくれる人とだけ付き合っていけばいい。少なくともウチは引き続き、そうする。

別に株主のために働く会社のように、上場をしているわけではないし、目指してもいないのだから。

短期より長期なら、色物より本物。でどうだろう。

スモールビジネスの
現場からは以上です.

このは屋の最新情報をツイッターで