今回は『マーケティングはリスト・コスト・テスト』について。
マーケティングには3つの大切な「スト」がある。もう完全にネタバレしているし、「スト」って何だ?って感じだけど、3つの「スト」とは、『リスト・コスト・テスト』のこと。(ゴロが良いでしょ)
ちなみに、スモールビジネスにおけるマーケティングといったら、基本的にはダイレクトマーケティングのことを指す。ダイレクトマーケティングとは「事業主と顧客がダイレクトな関係を築く活動」のこと。
そのスモールビジネスのマーケティングにおける大切な3つの「スト」。『リスト・コスト・テスト』について、それぞれ見ていこう。
1.リスト
まずは、『リスト』について。様々なマーケティング手段(DM、FAXDM、テレアポ、ラジオ広告、雑誌広告、メール広告、リスティング広告…)のノウハウを学ぶと、一度や二度はこんな言葉を聞いたことがあると思う。
「コピーライティングが王様である」と。要するに、良い広告コピーを書き上げることが何よりも大切なことであるということ。結果的にはそうなるかもしれないけど、これは見解の違いで少なくとも誤解を招く表現だな〜と思う。
実際には、どれだけ優れた(あるいは満足する)コピーを書き上げても、そのコピーを読むターゲット、つまりリストが適切じゃなければ大した成果を上げることはできない。
反対に、大したことないコピーだとしても、リストさえ良ければある程度の成果を上げることができる。たとえば、まったく同じ内容のDMを送ったとしても、適切なリストとそうじゃないリストでは、成果に10倍以上の差が出ることもある。(というかザラ)
実際のところ、こんなことは当たり前の話だよね。極端に考えてみればすぐに分かる。結婚式の招待状を送るとして、幼稚園の頃からの幼馴染の友人達とまったく知らない赤の他人達で、どっちの人たちが「ご出席」してくれるか。
こんなことは言うまでもない。いや、もはや言うまでもないの上をいって、言うまでもあるかもしれない。言おう。答えは幼稚園の頃からの幼馴染の友人達だ。
中に書いてある内容なんてまったく関係ない。どれだけ優れた内容が書かれてあったとしても、普通の人なら、赤の他人の結婚式になど参加しない。ちょっと極端過ぎる?いや、物事は極端に考えた方が分かりやすくなる。
だから、明らかにコピーライティングよりもリストの方が大切になる。「そうか、じゃあリストの次に大切なのがコピーライティングなのか!」いや、違う。まだコピーライティングより大切なものがある。
リスト、オファー、コピー
それは、「オファー」。オファーというのは、「提案」的な意味合いで、要するに「◯◯しますから、◯◯してください」ということ。
たとえば、「特典としてDVDをプレゼントして、さらに30日間の満足保証も付けますから、セミナー参加の用紙を返信用封筒で郵送してください」みたいな感じ。この場合は、「特典、保証、セミナー参加、封筒郵送」というのがオファー内容となる。
このオファーがコピーライティングよりも大切になってくる。リストの話と同じように、極端に考えてみるとわかりやすい。優れたDMコピーを書き上げたとしよう。そのDMを読んだ人は申込みたい気持ちになっている。
「よし、申し込もう!」と思って、最後の方を読んでみると、「申込みたい場合は、まず◯◯に電話をして、弊社指定の封筒を1万円で購入してください。その後に、弊社指定のペンを弊社指定のお店で2万円で買ってもらって、そのペンを使って、弊社指定の申込用紙にお名前と郵便番号と電話番号とスマホのパスワード、キャッシュカードの暗証番号を書いて、郵送費負担でご郵送ください。ポストに入れるときには3回周ってワンしてから入れてください。」って書いてある。申し込むだろうか。
よっぽど変人じゃない限りは、まず申し込まないと思う。要するに、どれだけ優れたコピーが書いてあったとしても、オファーが悪ければ、意味が無いということ。
とはいえ、もしかすると面白がって申し込む人もいるかもしれない。それはその人次第。だから、順番をつけるとしたら、「1.リスト、2.オファー、3.コピー」の順番で大切さが決まってくる。
ビギナーほど、コピーライティングにばかり力を入れて、リストやオファーをおろそかにしがちなので、マーケティング手段を実行する際には覚えておこう。
2.コスト
次に、『コスト』について。コストの大切さはスモールビジネスのあなたには言うまでもないことだと思う。事業家たるもの、常に費用対効果のことを考えて動かないといけない。
マーケティングにおけるコストは、2つの指標さえ抑えておけばいい。あとのものは二の次。じゃあ、その2つは何かというと「LTV(顧客生涯価値)とCPO(顧客獲得単価)」。
LTV(顧客生涯価値)とは、顧客から生涯に渡って得られる価値という意味。生涯というのは長すぎるから通常は6ヶ月とか1、2年くらいで区切って、その間にもたらされる売上として考える。
たとえば、1人のお客さんが1年間に10万円の商品を1個買ったら、そのお客さんのLTVは10万円。違うお客さんが1年間に10万円の商品を3個買ったら、そのお客さんのLTVは30万円。ポイントは、1人につき1回の購買で判断するんじゃなくて、一定期間内のトータルの購買で判断するということ。
CPO(顧客獲得単価)とは、顧客を一人獲得するのにかかったコストのこと。たとえば、DMを1,000通送って、そのコストが10万円だったとする。そして、10人の申込みがあったとする。この場合のCPOは1万円。顧客を一人獲得するのに1万円かかったということ。
LTVとCPO
以上が、LTVとCPOの説明で、マーケティングにおけるコストはこの2つの指標さえ抑えておけばいい。簡単に言うと、LTVがCPOより高くなればいい。肝心なのは、1回の購買で判断するんじゃなくて、トータルの購買で判断するということ。
1回の購買で判断すると、たとえば3,000円の商品を販売するために許されたCPOは、3,000円が限度ということになる。要するに、トントン。でも、LTVを加味してトータルの購買で判断した場合は異なってくる。
3,000円の商品を買った人は、他の商品も買ってくれて、3ヶ月間で平均1人当たり5万円使ってくれるとしよう。そうなると、3,000円の商品を販売するのに、5万円かけてもいい、5万円かけても3ヶ月でトントンということになる。
同じ3,000円の商品を販売するにしても、1人当たり3,000円しかコストをかけることができないところと、5万円のコストかけることができるところで、どちらが今後うまく商売を回していけるのかなんて言うまでもない。当然、よりコストをかけることのできる方。
でも、LTVとCPOをしっかりと計測しておかないと、これらのコストを把握することができない。多くの数字は見なくていい。まずは、この2つの数字だけ見るようにしよう。
ちなみに、ビギナーほど、クリック率やクリック数、インプレッション回数などばかり見て、肝心のLTVやCPOをおろそかにしがちなので覚えておこう。
3.テスト
最後に、『テスト』について。スモールビジネスのマーケティング活動においては、すべてをテストして、すべてをテストとして受け止めることが大切になる。
たとえば、◯◯というキャッチコピーと、××というキャッチコピー。どちらが優れているのかなんてテストしてみないことには絶対にわからない。
答えを知っているのは、白いヒゲを生やした海外の有名マーケッターでもなければ、黒ぶちメガネをしたコンサルタント先生でもない。ましてや、大学教授や経営学者でもない。唯一、お客さんだけが答えを知っている。
黒ぶちコンサルが「絶対◯◯の方がいい!」といっても、実際にテストしてみたら××の方がいいかもしれない。でも、黒ぶちに言われて、××をテストしてみなかったら、◯◯と××のどちらのキャッチコピーがいいのかわからない。だから、テストをしてみることが大切。
失敗とテスト
そして、実際に◯◯と××のキャッチコピーを使って、DMを送付してみたとしよう。××の方が圧倒的に成果が良くて、◯◯は全然成果が出なかったとする。この場合、◯◯は「失敗」なのか。
いいや、決して「失敗」じゃない。「失敗」じゃなく、「テスト結果」。◯◯を失敗と考えてしまうと、行動ができなくなってしまう恐れがある。ビギナーほど、テスト結果を失敗と捉えがちなので覚えておこう。
以上がマーケティングに大切な3つのスト『リスト・コスト・テスト』。